生活考案室の事例

考えたのは「記憶の磁場」です。

「廃れた長屋に新たな生命を」
というご相談でした。

とはいえ、余りにも旧すぎました。五軒ほどが頼りなく寄り添いながら立ち並んでいるその長屋の状態を調べてみると、想像以上に傷みが進行しており、すでに倒壊手前まできているとわかりました。限りある予算の多くは構造等の補強に費やされ、残った資金で一体どんな命を吹き込めうるのかが主題となりました。そこで長屋はその形状を残したまま、素材や部材にあえて文脈から外れたような異物を用いることによって、場の磁力を高める方向へ収束させることとしました。そうして、まるで異国のような、タイムトリップしたかのような、多層なノスタルジーを纏ったインスタレーションとなりました。

こうして生まれ変わったこの長屋は、新たな使われ方の可能性を孕みつつ佇んでいます。

・構造補強
・外観修景
・塀設置
・ネオンサイン等